初めまして。私は日本で薬剤師をしている、日本生まれ日本育ちの30代です。
今回は、カナダでの薬剤師資格取得を目指す過程で必須の、インターンシップで経験です。カナダでの仕事の経験を紹介して行きたいと思います。
追記
2024年のオンタリオ州の最低賃金は16.55CAD(Ontario)/16.75CAD(British Columbia )となっています。そのために、この記事で書かれる賃金は本来の金額よりも低く紹介されています。実際にはこの金額から30%程度は上がっていますのであらかじめご了承ください。また、2022年以前までは酒類を使う職種に関しては最低賃金以下である$12.55CADが適用さてしましたが、こちらも2024年の現在ですべて変更さていますのでこのブログで紹介されている額は実際には1. 5倍くらいになっているケースもあります。例:$2000CAD→$3000CAD
オンタリオ州
ブリティッシュコロンビア州
また下記からもその最低賃金ですが2024年10月には$17.65に上がることが予想されており、その額が少なく見積もっても2025年までは継続します。またブリティッシュコロンビア州もどうように16.75CADから17.4CADに最低賃金を引き上げる計画になっています。
- Ontario: $16.55 (next raise date: October 1, 2024, estimate: $17.65)
Minimum wage increases to $17.40 an hour on June 1
給料、福利厚生は?
まず仕事をする上で最も気になるのがお給料や福利厚生ですが、そもそもカナダの薬剤師はというと、のちに詳しく説明しますが、日本とは異なりかなり仕事の幅が広いです。
ですからその分お給料はもちろん上がります。地域差がありますが、一時間あたり約40ドル〜80ドルももらうことがあるそうです。
福利厚生も勤務先によって異なります。例えば薬剤師の免許申請にかかる費用を全てカバーしてくれる薬局、薬局内の商品であれば、元値から20〜30%割引してくれるところや、自分の処方せんについては調剤料は取らずにお薬がもらえる、などと様々です。
ちなみに私の場合はインターンの学生のため、薬剤師並みのお仕事をしながら勉強するにもかかわらず、給料は一切出ませんでした。これもインターン先によって異なるそうです。
必要な英語力
英語力ですが、英語で現地の大学に入れるほどには必要になってくると思います。私の地域では、IELTSはOverall6.5でインターンへ出向くことができるとなっていました。
しかし実際は、そのくらいの英語力があってもネイティブの英語にはついていけません。
当初私の英語力はちょうどIELTs Overall 6.5でしたが、毎日コミュニケーションに悩みながら、なんとかインターンを終えました。
仕事内容(重要な5つの業務)
処方箋の業務
次に薬剤師の仕事の内容として五つほどあげて行きたいと思います。一つ目に、もちろん処方箋を受け取り調剤する業務があります。
一般的に日本では薬局事務の方がこなしてくださっている、保険証の登録や調剤料の計算、処方箋の入力なども薬剤師が行います。
薬局助手がいる店舗もありますが、カナダは基本的に、大人数を雇わない、ある程度の忙しさまではワンオペ、と言ったスタイルがありますので、どの薬剤師も処方箋受付から保険の計算、調剤など全ての作業を熟知しています。
口頭処方箋
これを実習中は薬学生も同じようにこなします。二つめに、この処方箋ですが、医師から口頭で処方箋の依頼が入ることがあります。
これを電話で聞き取って同じように入力、調剤するバーバルプレスクリプション(口頭処方箋)という仕事があります。
電話口で受けた処方箋は薬剤師が書き起こして処理すれば、紙の処方箋と同じように扱われるため、患者さんの名前はもちろん、お薬の用法用量、日数まで間違えずに聞き取る必要があります。
なお薬学生も、薬剤師の監督のもとこの処方箋受付をすることができます。
薬物依存症の方々のための薬
麻薬の依存症になってしまった患者さんに対して毎日メサドンといういわゆる解毒薬を測って、目の前で飲んでもらうデイリーウィットネス(ウィットネスは証人の意味)があります。
この仕事はウィットネスを行う上で必要になる資格を持っている薬剤師のみが行うことができます。
薬学生は主に、薬剤師にこの仕事を回せるよう、メサドン処方箋のプロセスや、メサドンをもらいに来た患者さんの本人確認と基本情報のコンピューターへの入力を行います。
インフルエンザなどの予防接種業務
冬になるとインフルエンザのワクチンや、シーズンを通してHPV(子宮頸がん予防)、HSV(帯状疱疹予防)のワクチンなど予防接種業務があります。
薬学生もワクチンのトレーニングを受けていればこの仕事が可能です。私はまだトレーニングを受けていなかったので、ワクチン前のアンケートなど事前準備のみを行いました。
OTC(処方箋なしのお薬)レコメンデーション
最後に、ちょっとした怪我や病気に対しては市販薬を選んであげたり、病院への受診を進めるOTCレコメンデーションがあります。
日本とカナダとでは、市販薬の種類がかなり異なります。例えば熱が出たとき、日本では額に貼る熱冷ましのシートなどが手に入りますが、こちらではそのような商品はなく、主にアセトアミノフェンを飲んで解熱します。
薬学生であれども、カナダにはどのような市販薬が売られており、どのように使うのかを正しく患者さんに説明できるだけの知識が求められます。
また、前述したように日本とカナダの市販薬の違いなども知っておく必要があり、この違いに慣れて自然にお薬を勧められるようになるまでには、かなり時間がかかりました。
インターンシップのメリット、デメリット
カナダでは薬学生も自主的に薬剤師と同じような仕事をこなすことになります。責任が伴いますが、その分やりがいがあるのがこの仕事のいいところだと思います。
何より嬉しかったのは、稀に日本人の患者さんがこられて、同じ日本人で相談しやすくて助かったと感謝されたことです。
一方でやはり学生は給料が出ない場所でのインターンシップでしたので、フルタイムで月曜から金曜まで、祝日も関係なく薬局に通いつめているのに、一銭にもならないというのはかなり精神的にも辛かったです。
それに求められる英語力は一般の比にはなりませんでしたので、コミュニケーションに関しては本当にたくさんの苦労がありました。
面接などには対策はある?
最後に、インターンシップへは、大学のバックアップがあり薬局は希望するエリア近辺で割り当てられましたので、面接はありませんでした。
面接に行く場合は、「これまでに不機嫌な患者や怒りっぽいなど問題が見られる患者に出会ったことはあるか、どう対応したか」「チームで働くにはどのようなスキルが重要だと思うか」などの質問を受ける可能性があります。
まとめ
ここまで、海外の薬学生のインターンシップとしての薬局業務を紹介してきました。カナダの薬剤師は日本と比べて仕事も責任も多く、しかしやりがいのある職業ではないかと思います。
薬剤師試験も、薬局面接も全てクリアして、海外で頑張る薬剤師になれるように、また私と一緒に頑張ってくださる方が一人でも増えるように、頑張っていきたいと思います。
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