今回はカナダでの幼児教育の仕事でカナダでも人気があるECE(Early CHILDHOOD Education)で、着メロさんの経験談になります。ECEと言えば、カナダで永住権に近い職種でも知られています。
今回もこの職種での一般的な収入や面接の質問なども書いてもらっていますので興味がある方にはいい記事だと思います。
さらに今回はこの仕事のキャリアアップ(要:ライセンス取得)についての内容も書いてもらいましたので是非参考にしてください
追記
2024年のオンタリオ州の最低賃金は16.55CAD(Ontario)/16.75CAD(British Columbia )となっています。そのために、この記事で書かれる賃金は本来の金額よりも低く紹介されています。実際にはこの金額から30%程度は上がっていますのであらかじめご了承ください。また、2022年以前までは酒類を使う職種に関しては最低賃金以下である$12.55CADが適用さてしましたが、こちらも2024年の現在ですべて変更さていますのでこのブログで紹介されている額は実際には1. 5倍くらいになっているケースもあります。例:$2000CAD→$3000CAD
オンタリオ州
また下記からもその最低賃金ですが2024年10月には$17.65に上がることが予想されており、その額が少なく見積もっても2025年までは継続します。またブリティッシュコロンビア州もどうように16.75CADから17.4CADに最低賃金を引き上げる計画になっています。
Ontario: $16.55 (next raise date: October 1, 2024, estimate: $17.65)
(1)賃金とチップ
オンタリオ州の二年間のカレッジを終了するとRECE(Registered Early Childhood Educator)の資格が得られます。
RECEの資格保持者で経験年数5年以上の私の場合は時給23〜25ドルが相場です。そこにオンタリオ州より時給2ドルの手当がでるので、合計約25〜27ドルになります。
チップはないのですが、ホリデーシーズンやティーチャーズデイでは保護者よりギフトカードやプレゼントをもらうことが多いです。
(2)必要だと思った、英語レベル(理想のTOEICのレベル)
朝夕のサークルタイムでは子供達に本の読み聞かせをしたり、行事について話したりする時間があります。
子供相手とはいえかなりの人数の前で話すので、きちんとした英語で正しい情報を話すことが求められます。
また先生同士や保護者と子どもの様子を共有し合うので、コミュニケーション力が必要です。その他保護者への連絡帳や週案、子供の観察記録など書き物も多いのでライティング力も必要です。TOEICだと800以上が必要になるかと思われます。
(3)ECE(Early CHILDHOOD Education)の職務内容
1.子供たちの受け入れと親への対応
子供達の受け入れとお迎え時は、親と実際に関われる貴重な時間です。子供の家での様子を共有したり、学校での様子を伝えたり、また重要な伝達事項を伝えるでのコミュニケーション力が必要です。
2.クラス運営
メインのお仕事です。朝、昼、午後に分けて1日を通してご紹介します。
(朝)
まず朝はオートミールやシリアルといった、簡単な朝食を提供することから始まります。それが終わると準備されたおもちゃで、子供たちは自由に遊びます。
サークルタイムと呼ばれる朝の会で歌を歌ったりするので、英語の童謡を一から覚えなくてはいけませんでした。
そのあと用意したおもちゃや道具で子供たちは自由に遊ぶのですが、一人一人目を話さず観察します。危険だと思われる行動を止めたり、いざこざがあれば仲際に入り指導をします。
(昼)
ランチはトロントという国際色豊かな土地柄もあり、お米、パスタ、ブリートとさまざまです。アレルギーがある子供はもちろん、宗教上ハラルミートしか食べられない子や牛肉を食べない子、ベジタリアンの
子など多くいるので、どの子が何を食べるのかしっかり把握して配膳をしています。食べるか食べないかは子供たちの”権利”なので、無理に口に入れたりすることは児童虐待に当たってしまいます。
保育士ができるのはあくまで「食べる?」と聞いて促すだけです。4歳児以下は2時間ほどお昼寝があるので、子供たちを寝かしつけます。
(午後)
朝と同様におもちゃが出され、子供たちは遊びを通していろいろなことを学んでいきます。3時にクッキーやジャムサンドイッチといった、簡単なおやつを子供たちに出します。
お迎えが来たら、保護者にその日の様子や連絡事項を伝えます。子どもたちを見送った後は、クラスの掃除・片付け、戸締まりをして勤務終了です。
3.おもちゃの消毒
子供たちが集まった環境だとやはり風邪や手足口病、結膜炎などすぐに広まりやすいので、隙間時間さえあればおもちゃの消毒をしています。保育士になった初年度は、思いつく全ての病気にかかり苦しみました。
4.連絡帳
最近のデイケアでは連絡帳アプリを使って、保育士と保護者が子供の様子を共有するところが増えています。
子どもが日中どのように遊んでいるのか様子を写真に撮り、短い説明文を添えて保護者に送ります。また着替えなど持ってきて欲しい物があれば、アプリから保護者にお知らせします。
5.週案、月案、子供それぞれの興味と様子を観察し記録して目標を立てる
月案はその月何をするのかを大まかに決め、週案は一日3〜5つの遊び・活動を週ごとで計画をたてます。
遊び・活動に取り組んでいる子供たちの様子を観察し、一人一人どのようなことに興味を持っているのか、どのように取り組んでいるのか、何に苦戦しているのかなどを観察して記録します。
それを元に、次の週案を決めていきます。
(4)その仕事でしていてよかった事
大きなやりがいとして、子供の成長に関われることです。
できないことができるようになったり、内気な性格が外交的に変わったりと、いち人間として日々成長していく姿を間近で見守り関われる楽しさは保育士だから得られるのだと思います。
保育士の資格は子供の関わるものであればさまざまな場所で活かせるので、選択が多いのはすごく良いなたと感じています。
保育園や幼稚園、小学校だけでなく美術館や博物館といった、子供向けのプログラムを提供しているところでも資格が役に立ちます。
(5)その仕事でよくなかったこと
子供をオムツ台に乗せたり降ろしたり抱っこする際、背中や腰を痛める保育士が後を絶たず、常に危機感を持って仕事をしています。
長年勤めていても、ディレクターはそれぞれのセンターに一人だけなので、仕事のステップアップが限られているのが難点です。
また日本と同じく、まだまだ保育士は女性が大半で大奥の世界です。子育てに正解がないように、先生それぞれやり方が違うのでぶつかることも少なからずあります。
少しの人間関係に悩まされるのは日常です。
(6)どのような人にお勧めできるかまとめ
子供が大好きなことはもちろん、イライラせず大きな心で包んであげられる気が長い人にお勧めです。
命を預かる仕事なので、危機管理などしっかり責任感のある人であることが求められます。またオンタリオ州の法律で一日最低二時間は外遊びが義務なので、体を動かすのが好きな人にぴったりです。
ちなみにマイナス20℃までは子どもたちを外に出すのですが、暑さに弱いカナダでは30℃以上になると外に出てはいけなかったり、外遊び時間を短くすることが多いです。
(7)面接時の質問
英語での面接です。
- チームワークに関する質問:同僚達とどのようなチームワークが必要だと思いますか?もし同僚と問題があった場合、どのように対応しますか?
- 場面の例をあげてどのように対応するかの質問:二人の子供が揉めています。あなたならどうしますか?子供が別の子に噛まれました。どのように対処しますか?
- 自分のキャラクターや履歴についての質問:あなた自身を3つの言葉で言い表すとしたら何ですか?またどうしてなのか?前の職場では何をやり遂げ学んだのか?またこれからのあなたの目標は何ですか?
(8) その業界全体の給料など(ライセンスなど)
保育士には、カレッジ2年コースを卒業したRECE (Registered Early Childhood Educator)と呼ばれる資格をもった人と、カレッジ1年コースを卒業したECA (Early Childhood Aassistant)と呼ばれる2つのカテゴリーがあります。
実はカレッジに行ってなくても、ナニーなど子供に関わる仕事を経歴に持つ人が、ECAとして働いていることもよくみかけます。なので日本で保育士していた方も、ECAとして働くことが可能です。
RECEとECAではほとんど仕事内容は変わらず、週案を決めたり書き物することも一緒なのですが、薬の取り扱いなど少しだけできる範囲が異なっている上、オンタリオ州の教育省のルールで、各クラス必ず一人はRECEでなくてはいけないという決まりがあります。その為、RECEはECAよりだいたい2〜3ドル時給が高いです。
また園や学校にはさまざまな形態があり、プライベートなのか宗教関係なのか、もしくは非営利団体なのかによって随分と時給が変わってきます。
プライベートの園や学校は直接支出に影響があるためか、ECAは最低賃金の$15.50(2023年5月時点)からが多いように思います。
RECEでも$18ほどです。宗教関係もしくは非営利団体だと大きな組織になるので、ECAは$20〜23から、RECEだと$23〜25と時給もよくなります。
週案を作ったり、工作の準備や書き物をする時間などは園や学校によって確保されていたりいなかったりと、本当にまちまちです。
私の経験では、週に一度も確保されていないところ、週に2時間週案を作る時間を確保してあるところ、また毎日1時間半もらえるところがありました。
時間が確保されていないところでは、家に持ち帰ってその週に行う授業の準備をしていましたが、その時は一切手当がつきませんでした。
面接の際に、そこの園や学校では準備時間がどのように確保されているのか、きちんと前もって確認しておくことをお勧めします。
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