英語圏で研究員のお仕事INオーストラリア

海外 仕事(カナダ以外)

今回はオーストラリアの研究員のお仕事でQuokkaさんの経験ですね。かなり珍しい仕事ですね。

(1)賃金とチップ

オーストラリアの賃金は政府により職種ごとに最低賃金が細かく定められており、諸外国と比べると比較的高いです。

私はシドニーのCBDから少し離れた場所にある大学働いていましたが、賃金は大体90,000AUDでした。

カナダでも研究員の給料は高いと言われていますね。たしか、$40(時給)くらいだったかと

(2)必要だと思った、英語レベル(理想のTOEICのレベル)

大学での研究ですので、専門的な英語が必要になります。実感的にTOEICで900点くらいでしょうか。

実際の仕事では、教科書に載っているレベルの専門用語を日常的に使用しつつ、研究内容を理解し考察し、相手の言っている内容を理解して自分の考えを論理的に説明する必要があります。

さらに、論文を読み自らも執筆する必要がありますので、かなりハイレベルな英語が要求されます。

技術職という事でこの辺は疑いようのない英語レベルが必要です。また、専門の知識も必要ですね。

(3)DUTIES

1.論文執筆

論文執筆はそれまでの研究結果を報告するので研究者として最も重要な仕事です。論文を執筆しないと研究者としては評価されない傾向が強くなりますので、必須の仕事です。

逆に言えば、しっかりと論文を書いてその論文が評価されると、仕事に関しては特に何も言われません。

専門やテーマ等にもよりますが、一つの論文を書くには実験で数か月、論文執筆で数か月、さらには査読で数か月、ジャーナルに掲載されるまで合計一年以上かかる場合もあります。

他にもインパクトファクターと言ってジャーナルの格付けに使われる指標がありますが、このインパクトファクターの高いジャーナル、例えばNatureやScienceなどから出版できると、研究者としての評価が一気に高まります。

ですので、研究者の多くは高いインパクトファクターのジャーナルに掲載させようと頑張っています。

2.研究室の安全管理

研究室では危険な薬品や高電圧、真空機器等を使用しますので危険がいっぱいです。

また、大学ですので経験の浅い学生が出入りして実験を行いますので、事故の危険が高くなります。このためリスクマネジメントを行い、危険因子を取り除いて事故の確率を低減させます。

また、薬品の管理を行い、適切に使用されているかチェックします。

3.実験の実施

実験は研究の要となりますので、非常に大切な仕事です。より良い実験を行うために日々研鑽を重ねています。

実験を行うにあたってまずは実験計画を立ててその計画に沿って実験を行います。その他にも欲しい実験データを得るために実験装置を組み上げることもあります。

4.学生の指導

研究室の教授は学生を受け入れて教育指導を行いますが、実際は会議ばかりで学生の面倒を見る時間はあまりなく、ましてや現場で実験の指導を自ら行うことはほぼありません。

このため、私など研究員が実験の面倒を見ています。

5.共同研究先の企業へ結果報告

昨今では大学では企業等と共同研究を行うことで研究資金を得ています。このため、共同研究先の企業へ結果を報告する義務があり、そのための資料を作成して報告します。

この仕事が一番神経を使いました。そもそも大学と企業は目的が異なります。大学の目的は教育と研究でありますが、企業は利益の最大化です。

つまり、企業にとって共同研究とは投資であり、投資から利益を生み出すことが目的になります。一方の大学では研究、つまり論文執筆が最大の目的なので、両者は水と油の関係になってしまいがちです。

このため、企業は実用的な技術開発につながる報告を期待していますが、教授は魅力的な論文が書けるような結果を期待しています。

企業と教授、両者の板挟みになってしまう場合がありますし、どちらの側にも近づきすぎると自分の立場が苦しくなりますので、企業用の説明と教授用の説明を使い分けていました。

うーん、なかなか楽しいそうな仕事ですね。わたし個人も経済学でこのような仕事をしてみたかったです。

(4)その仕事でしていてよかった事

研究の共通言語は英語です。この英語を使って研究を行っていましたので、英語で研究を遂行できる能力が身につきました。

これは国際的な研究者として必須の能力です。また、国際的な研究者仲間が出来ましたし、論文を出版することで研究結果を積み重ねることが出来ました。

他にも、学生の指導を通して学生の教育に貢献できました。最初は右も左も分からなかった学生が次第に自分一人で実験を遂行し、結果の報告を行うようになっていく様を見ていると嬉しかったです。

教授からは研究者としての心得や科学に対する態度、取り組み方などを学びました。これらがこの仕事をしていて良かった点です。

非常にやりがいがありそうな仕事ですね、うらやましい限りです。

(5)その仕事でよくなかったこと

変な話になってしまいますが、オーストラリアの大学に染まってしまったことです。オーストラリアは非常にのんびりした国です。

仕事も皆のんびりとやっています。それに輪をかけてのんびりしている職場が大学です。2週間おきの火曜日の午前10時からは学部のお茶会があり、お茶を飲みながらケーキを食べて皆で談笑していました。

他にも月に1回は午後4時頃からバーベキューがありカンガルーのソーセージなどを焼きつつビールを飲んでいましたし、ちょこちょことイベントごとがあって中庭などに集まって勤務時間中にパーティーをやっていました。こういう職場にいたので、日本の職場環境で再度仕事ができるかどうか心配です。

リラックスした職場ですね。わたし個人もカナダの職場でこのような事は経験がありますね。仕事にはこのような部分も必要だと思います。

(6)どのような人にお勧めできるかまとめ

海外の大学勤務は特に若い研究者にお勧めしたいです。若いうちに勢いで飛び込んで我武者羅に研究をしているとそれなりに鍛えられます。

歳をとると結婚等で身動きがとりにくくなりますので、若いうちに行くことをお勧めします。

結婚すると身動きが取れないという事は、まだよくわかりませんがわたしの上司などを見ていると言っている事が分かるような気がします。

(7)面接時の質問

面接のときには大学で何を勉強したか、会社でどんな仕事をしていたか、等の質問を受けました。

教授の研究テーマと自分の知識と経験がどれくらいオーバーラップしているかを計っていたのだと思います。最後に教授から笑顔で科学は好きか?と質問されたことが印象に残っています

素晴らしい記事でした。ありがとうございます。

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