2022年もすでに残り3ヶ月間となっており、カナダもかなり寒くなってきています。カナダの大都市ではわりと温かい方であるトロントも10月にもなると、雪が降る季節になります。
冬になってくると、外は寒くなってくるために仕事にも身が入るという方がいるかもしれませんね。
このブログではカナダ就職に関して、面接の方法や労働基準法など他にも必要なことをたくさん書いていますので、ぜひ参考にしてください。今回はテーマは試用期間についてです。
日本と同じようにカナダの仕事にも試用期間というのがありますが、その中身について具体的に知っている方はあまり多くないように思います。試用期間は英語で言うとprobationary periodとなります。
今回はカナダの試用期間に迫っていきます。ぜひ、カナダで長期の就職をする前に一回は読んでおいてほしい記事です。
試用期間の目的とは? (オンタリオ州)
その環境(会社の社風などに)に適しているか?を調べる
まず、試用期間の目的ですが簡単に説明すると新しく人を雇用するときにその人が本当にその仕事/会社に向いているのか?と言うことを調べる期間という事になります。
個人の経験談で、日本人の方ではありませんでしたが試用期間中にもかかわらず日曜日の朝方までお酒を飲んでいて、月曜日に遅刻してきた方を知っていますが、これは明らかに労働契約の不履行となります。
その方からしたら、20分-30分でいどの遅刻はたまにはある事だからしょうがない!と言っていました。
しかし、カナダでも会社によってそれを正式な遅刻(労働契約違反)と考える会社とそうではない会社に分かれると思います。
個人の経験談では日系は時間に関しては厳しめで欧米系(ただし、こちらはパフォーマンス次第でリストラの対象になりやすいです)は寛容です。このケースでは社風にあってないと考えることもできます。
適切なスキルなどを持っているか?
他にも重要なことにあなたが適切なスキルを本当に持っているのかを調べる期間です。カナダで言えば、仕事に関する知識、英語能力など様々ですね。
それらをちゃんと確認しないと会社はその従業員を正社員で雇うにはリスク高すぎるためにここをしっかり確認したいと思っています。
そのための試用期間と言うことになります。
試用期間は絶対に必要なのか?
試用期間は絶対に必要なのか?と言う答えから言うと、NOです。ただし、会社側が望めば可能です。
雇用契約書 (employment letter)などような書類に記載すれば新規の雇用者を試用期間の段階から雇うことが可能になります。
そのために一般的な常識では試用期間をクリアしてからの正式採用が本採用と言うことになります。そのために、ここに来るまで健康保険(他の職員にはあっても)がなかったりします。
ちなみに本採用にならないと会社側からいつでも雇用契約打ち切りの可能性があります。←後で書きますが、会社側はなんでもかんでも(問題ないのに)一方的に契約を打ち切ることはできません。
会社ならびに労働者側、どちらも紙面での合意が必要である。
会社側だけではなく、労働者側の合意も必要です。また、正式な書類上での契約が必要になります。
口約束で、試用期間となっていた労働者がいたや、メールで送ったから確認しておいてね!などの条件では完結しないという事です。
正式な書類で双方がサインなどで合意している必要があります。
試用期間中の給料/待遇は変わる? (オンタリオ州)
試用期間中の給料は低いよりも高いことが多い?
試用期間中の賃金ですが、変わることはないとの見解です。つまり、試用期間でもその後でも賃金に変化はないと言うことになります。INDEEDから引用しています、詳細は下記です。
ちなみに試用期間であっても最低賃金を下回ることはオンタリオ州の法律を固く禁じられていますので、覚えておいてください。
また個人の経験では、試用期間中の方が給料が高いことが多かったです。
これには理由があってもらえる給料は同じであっても試用期間中は会社が持っている様々なプログラム(ベネフィット)に入れないために結果的に引かれる額など少なくなり収入が上がる仕組みです。
わたし個人のケースではこちらの方が多いですね。
試用期間中の待遇は変わる?
さきほど説明したとおりに試用期間中には会社が持っている様々なプログラムに加入できないケースが多いです。例えば、労働保険ですね。他にも年金プログラムなど様々です。
日本では国民皆保険が一般的で病にかかろうが問題はありませんが、カナダでは国の保険ではすべてがカバーされているわけではありません。従ってカナダで労働保険が持つ意味は日本よりも重要になります。
ちなみに、保険がないと薬代だけで$200(月)などになることもあります。薬によりますが、可能性はあります。
他にも会社が持っている年金ですね、あなたが少しお金を出すと会社も少しお金を出してくれたりますので、ここが違う感じでしょうか。
不合格/合否/延長についてはどうなる?
不合格時にはパフォーマンス(仕事の出来高)が低いことが原因でないといけない
試用期間中に契約の解除になったという話はよく耳にしますが、まずここで注目したいのは不合格になる原因についてですね。
当然、会社側の一方的(例えば不況で仕事がない)な理由で解除にすることはできません。そうですね、仕事をする上での知識などが著しく欠けている、または社会的な責任やモラルなどが欠けているなどの理由でないといけません。
試用期間は3ヶ月間と決まっているわけではない
www.carters.ca/pub/bulletin/charity/2009/chylb168.htm( 参照)
上記に書いているとおり、オンタリオ州の労働基準法によると試用期間労働の期間は3ヶ月間とは決まっていない、だたし一般的に3ヶ月間がとみる会社が多いと言っています。
延長の可能性がある
試用期間の延長の可能性があります。先ほど申し上げたとおり試用期間は90日間が一般的です。しかし、経営者が労働者に対して90日間では不十分だと考えた場合には延長が可能になります。
ただし、このケースを経て契約解除の場合には1週間前の告知か1週間分の支払いが必要になります。また少なくてもカナダでは管理職の方が圧倒的に試用期間の延長の可能性が高いと言われていますね。
また延長時には再度、契約書などによって試用期間が延長されることを告知する義務があります。
どのようなケースでも書類での合否で完結する
試用期間の終了は雇用側、と労働者側の双方の書類の確認とともに終わると言うことになっています。個人のケースでもまず試用期間に関する書類にサインをして完結する感じです。
またここで、個人の経験で正規な社員のようなポジションになりますから、ここから労働保険などにはいれるようになるために、さらに保険の書類にサインをするステップに進む感じです。
ちなみに下記のような書類にサインする感じでしょうか。
Probationary Period. A. The probationary period for a new employee shall be ninety (90) calendar days. The Employer shall have the right to separate from its employ any probationary employee at any time during the probationary period and these probationary employees shall not be permitted access to the grievance procedure in relation thereto.
試用期間が会社の判断でいつでも終わる可能性がある
雇用者から解除(失業)の告知を突然受ける可能性がある
上記に書いているとおり、試用期間の間は告知なしに契約の解除をすることが可能と言うことになっています。労働基準法の一般的な見解は下記になります。
“the status of a probationary employee has acquired a clear meaning at common law. Unless the employment contract specifies otherwise, probationary status enables an employee to be terminated without notice during the probationary period if the employer makes a good faith determination that the employee is unsuitable for permanent employment, and provided the probationary employee was given a fair and reasonable opportunity to demonstrate their suitability.”
上記の文から、会社が試用期間中である従業員に善意によって十分に仕事をする機会を与えたにもかかわらず、それをうまくこなす事ができないと判断されたときには告知なしに契約を解除することが可能になっています。
ただし、最近の裁判所の判決から見ても、会社が試用期間中である従業員に十分に仕事をする機会を与えたの一文が非常に重要であることがわかります。
つまり、会社は善意によって機会を与えていないといけないわけです。
個人からやめること(試用期間の終了)を申し出ることも可能
あまり知られていませんが、試用期間中にあなたが働いた会社であなた自身が会わないと感じた場合にはあなたから会社の方にやめる事を告知できます。こちらの方も問題はありません。
ただし、このケースでは履歴書のほうをどのように作成するのか?と言う問題も出てきます。そのために、どのような会社でも一回でも入ってしまえば1年間くらいは続けることをおすすめしたいです。
失業の理由が下記であってはならない
宗教に関連するもの
契約の解除が当然ですが、下記の理由であってはならないとなっています。まずは宗教ですね日本人が多い仏教ですがもし、これを理由に契約の解除になるとかなり不公平ですよね?
世界的にはまだ一部の地域で宗教によって嫌悪感をいただく方々いる場所もたくさんあります。そのために、法律になります。
年齢に関係する理由
カナダに長く滞在しているなら知っているかもしれませんが、カナダでは履歴書にあなたの年齢を書きません。年齢を書くことは違法になっていますので気をつけてください。
性別での合否
他にも男性と女性などの性別で合否を分ける場合も当然違法になります。
過去に実際にあった訴えられたの例(Bad Faith)
さきほど、試用期間を会社から打ち切ることは会社の善意で従業員に機会を与えている必要があると書きましたね。
では裁判になったケースにはどのようなものがあるのかを調べました。カナダ全土のケースになりますので、オンタリオ州以外のものもあります。
ケース1 最低賃金以下が適用されていたケース。
突然ですが、現在のオンタリオ州の最低賃金はいくらか知っていますか?2022年の9月現在で$15.5になります。
下記の記事によると、6ヶ月間にわたって最低賃金以下の支払いを受けていた女性がカナダ労働省に訴えを起こして約$16500を受け取ったという記事ですね。やってみるもんですね。
ケース2 試用期間中に上司から仕事を辞めるようにいやがらせに関わらず敗訴
2013年のもので少し古いのですが、従業員(Nagribianko)が6ヶ月間の試用期間中に会社側から意図的に仕事を辞めるように仕向けられたと言うケースですね。
下記を参照にしてください。
裁判所の判決で結果ですが、従業員はその会社から4ヶ月分の給料とともにベネフィットを受け取ると言う判決になっています。
が、 会社側も最高裁に控訴して結果的に会社側が勝ったケースもあります。そのためにすべてのケースで従業員側が有利とは限らないということになります。
上記の記事を参考にさせていただきました。
まとめ
と言うことで今回はカナダオンタリオ州の労働基準法についてで試用期間について深掘りをしました。
試用期間は90日間が多いこと、また延長の可能性がある事、さらに善意によって機会が与えられる必要があることを説明してきましたね
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